林叡作という天才が逝った

僕が30年いたイーストで、というよりここまでのテレビの仕事をしてきた中で、師と仰いで尊敬してきた二人の演出家の一人が林叡作さんだった。もう一人は「俺はお前の事なんかそんなに見たことないよ」とおっしゃるかもしれないが、去年亡くなった実相寺昭雄さんである。その二人の一人である林さんが先日亡くなった。実相寺さんにはテレビを含む「ものの作り方についての基本的な考え方」を教わったが、林さんはただそのすごさを仰ぎ見るばかりだった。今どきのテレビ作りは、撮る時はとりあえず撮って、編集に入ってからああでもないこうでもないとこねくり回す作り方が蔓延しているが、林さんは「撮っている時に編集上がりが見える」人だった。この人くらい編集が早かった人を僕は知らない。もちろん今のような一言一言に字幕を入れる時代ではなかったこともあるが、1時間番組を2本つないでまだ夜になっていなかったこともある。撮っている時に「ああ、ここはこのへんにしよう」とか「このブロックは最初に持ってこよう」とかを見極めているので、編集自体も早いし、何よりも余分な撮影をしない。僕の同期で林さんに影響を受けて「おれは余分なカットは撮ってこない」と豪語していたやつがいたが、こいつの素材は全然足りてなかった。仕事以外では麻雀をよくしたくらいで、あまりお話をしたことがなかったが、とにかく尊敬していて、去年たまたま林さんの話題になり、是非一度お食事でもしてじっくりいろいろなことをお聞きしたいとお願いしていたのにかなわなかった。矢野顕子さんのコンサートを見た直後に、すごくいい気分で切っていた携帯を起動したらこの訃報に直面して足が止まった。一つの時代が終わったという気分だった。冷たい雨の中のお葬式も、無宗教ですごくスタイリッシュで、最後までかっこいい人だった。林さん、ありがとうございました。
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